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つまり、この頃の物流は、輸送や保管という個別の活動が存在するだけで、それを管理するという発想自体が存在しなかったのである。
どの企業でも大忙しだった初代の物流部長物的流通から物流へこれまでの物流管理の取り組みこれまで、それらが発生する場所で個バラバラに行われていた輸送や保管という活動を「物流」として統合的にとらえ、それを管理するという役割を与えられた物流管理部門は、ムダを省くことは当然として、さらなる効率化を目指して、さまざまな取り組みを展開した。
具体的な取り組みを列挙してみると、以下のようなものをあげることができる。
@物流拠点を集約するA物流経路を短縮するB拠点内作業を効率化するC輸送車両の大型化を図るD車両の積載効率を高めるE共同輸送を推進するF保管効率を高めるG機械化・省力化を進めるH包装資材を低価格のものにするI包装を簡素化するJ包装作業を機械化するK物流事業者との契約条件・料金を一括管理するL物流事業者への業務委託を拡大するMパートの活用を進めるNコンテナ、パレットを導入するこれらの取り組みについては、すでにお馴染みのものばかりなので説明は省くが、これらの取り組みはいまでも多くの企業で展開されている。
それはともかくとして、それまで「物流は行われていたが、管理はされていなかった」ということもあって、新設された物流管理部門は、これらの方策に積極的に取り組んだ。
当時は、これまで何もしていなかったこともあり、何をやっても大きな合理化効果が得られたことはたしかである。
黎明期特有の華しさに包まれていた時代ということができる。
そのため「初代の物流部長はやることがいっぱいあるからいいけど、やることがなくなる二代目以降の部長は大変だ」などといった話が、まことしやかに語られたりした。
もちろん、二代目以降の部長もやることはたくさんあったのだが、そんな話が語られるほど初代の物流部長は忙殺されていたということである。
命物流コスト算定が物流管理の大きな仕事になっていたこれまでの物流管理の取り組み当時、多くの企業が取り組んだ課題に物流コストの算定がある。
物流コストをつかんでも効率化にはならないが、物流管理部門が作られたとき、自分たちが管理する物流という領域がコスト的にどれくらいの大きさを持っているのかを把握したいという強いニーズがあったからである。
逆にいうと、物流の重要性を、さらに物流管理の必要性をコストの大きさでトップや社内の他部門に知らしめるというねらいもあった。
この物流コスト算定において大きな役割を果たしたのが、七七年に運輸省(当時)が発表した『物流コスト算定統一基準』である。
物流コスト算定の標準的な方式を示したもので、大きな話題を呼んだ。
この統一基準は、物流コスト総額の把握に主眼が置かれ、コストを管理のために使うという視点は希薄であったという点に特徴があった。
それは、「そもそも物流コストとは何か」というところが出発点になっていたからである。
まず、物流コストを把握することが最大の課題であり、算定したコストをどう使うかという視点は二の次だったのである。
管理に使うという点では、せいぜい予算管理における活用に限られていた。
物流コストについてのこのような特徴は、その後も長く続くことになる。
コストを物流管理に使うという点では、あまり進歩がないまま最近まで至ったというのが現実である。
このような状態を打破したのが、最近登場した物流ABC(活動基準原価計算)という原価計算である。
これについては後に詳しく説明するが、この物流ABCの登場でようやくコストを管理に使うことが可能になったのである。
物流コストの大きさで物流の重要性をアピールするという点で特筆すべきが、この頃、W大学のN教授(当時)が提唱された「物流は第三の利潤源である」という利潤源説である。
この考え方は、いまでも通用すると思われるので、ここで簡単に説明しておこう。
いまここに売上一○○○万円の会社があり、この会社で物流コストが五○万円かかっていたとする。
売上に対する物流コスト比率は五%となる。
この会社の営業利益率を三%と仮定する。
さて、この会社で物流コスト削減に取り組み、一○%のコストダウンに成功した。
おわかりのように、物流コストが五万円削減され、その分利益が五万円増えている。
物流コスト削減分はそのまま利益増につながるということで利潤源と位置付けたわけであるが、これだけではインパクトが弱い。
これは、物流コスト削減で五万円の利益増になったが、これを企業の第一の利潤源である「売上増」で出そうとしたら、どれくらいの売上が必要になるかという視点に置き換えたものである。
営業利益率が三%であるから、売上で五万円の利益を稼ぎ出そうとすると、一七○万円の売上が必要になる。
物流コストを一○%削減することは、売上を一七%増加させたことと同じ効果を持つのだということを強調しているのである。
売上に対する物流コスト比率や営業利益率が異なれば、当然その効果も変わってくる。
利益率が低ければ、売上数十%増に匹敵するということにもなる。
ここで強調しているのは、利益は外から持ってこようが中から生み出そうが同じなのだから、物流コストの削減に力を入れましょうという物流部門のアピールなのである。
このように、利潤源として物流を見るという説は、当時大きなインパクトを与え、トップの物流への見方を変えたという効果があったのである。
ちなみに、物流コスト削減を第三の利潤源としたわけであるが、第二の利潤源として位置付けられたのがメーカーなら製造原価、流通業なら仕入原価であった。
物流の黎明期においては、このように、物流コストを使って、物流の重要性を盛んにアピールしたのである。
これまでの物流管理の取り組み拠点集約が進むにつれ、物流を担当する人たちの関心は個別の活動内容にも広がっていった。
集約した物流センターのレイアウトや作業システムをどうするか、どんな物流機器を入れればよいのか、トラックを満載にするためにどう工夫するか、往復実車にできないか、帰り便のトラックを使えないかなど、同じ物流をやるならば少しでも低コストでやりたいという点に関心が集まるようになった。
これまでの物流管理の主役は、いうまでもなく物流にかかわる諸活動の"効率化だった。
先に取り組み課題を列挙したが、いずれも個の物流活動の効率化に主眼が置かれたものである。
その中でも大きな取り組みとしてあるのが物流拠点の集約である。
全国に散在している多くの倉庫を少数の物流センターに集約することで大きなコスト削減効果をねらったものである。
もちろん、これはいまでも主要な課題として多くの企業で取り組まれている。
物流活動の効率化が中心課題これから求められる「効率化中心の管理」からの脱皮現在の物流が改善すべき問題はこれだ!いま振り返ってみると、これまでの物流管理というのは、このような活動の効率化に終始してきたといってよい。
この間、幸か不幸か、顧客からの物流要求はエスカレートする一方だったという事情もある。
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